メガバンクから投資銀行への裏ルート 第1話 ~20代月収100万へ~

その男、豪(ゴウ)。

慶應義塾大学を卒業し、メガバンクに就職した後、投資銀行への転職に成功。
社会人4年目にして、月収は100万円を超える。

家賃30万のタワーマンションに住み、一晩で5-10万使うことなど日常茶飯事。

それでも、独身の彼にとっては、稼いだ金は使いきれず、銀行口座にはコツコツと残高が積みあがっていく。

受験競争を勝ち抜き、慶應義塾大学を卒業した同期の中でも、明らかに高年収の部類に入るであろう。

投資銀行とは、そういうところだ。

そんな高年収な彼だが、最初から順風満帆なキャリアを手に入れられたわけではなかった。

メガバンクから投資銀行への裏ルート 第1話 ~エリートの挫折~

豪(ゴウ)が最初に配属されたのは、大手法人を担当することで有名な都内の某支店。

メガバンクと言えば、金融系ではお馴染みの地方転勤がつきものだが、新卒での配属では、誰もが希望する都内の有力支店に配属が決まり、内心ホッとしていた。

担当する法人は、誰もが知っているコンビニエンスストアやその他有名企業。

採用人数が多く、出世競争が非常に厳しい環境において、「ブレイン」や「ソルジャー」などという言葉で区分けされる彼らの身分。

法人営業は、「ソルジャー」に該当するが、それでも都内有名支店で大手顧客を新人時代から担当できることは、同期の中でもまずまずのポジションにいることは違いない。

慶應時代からの友人と疎遠になることもなく、メガバンク同期との絆を寮生活においても築き上げ、生まれ持った人当たりの良さと、寝ずにとも人付き合いができてしまうタフさで、同僚や上司たちの関係性を手堅く築いていった。

豪(ゴウ)は、元々、ホームランを狙うようなタイプではない。

下手にホームランを狙うよりも、安打を積み重ねて、目指すべきゴールへ進んでいく。

「投資銀行や財閥系総合商社のように、慶應生の中でも一目置かれるような企業に飛び込むよりも、メガバンクで着実に安打を重ねていこう。」

彼の生き方には、慶應卒から有名企業の重役まで登りつめた父親譲りの人生哲学のようなものが垣間見える。

そんな彼であったが、突如として、予想外の展開が訪れた。

まだ入社2年目なのに転勤?嘘だろ・・・

思いもよらない事態だった。

メガバンクでの転勤はつきものだが、最低でも3年程度同じ部署に勤めた後、転勤を命じられるのが普通だ。

しかし、豪(ゴウ)は、まだ2年も経っていない。

「あの時、上司の前で言った言葉がいけなかったのか?地方大好きなんで喜んで行きますよ、とか体裁の良いことを話した覚えはあるけど、あくまで上司の前での建前に過ぎない。まさか現実になるとは・・・」

これが異動を命じられたのは、名古屋。

東京生まれ、東京育ちの彼にとって、縁も所縁もない土地だ。

これまで、ここまで屈辱を感じた境遇に陥ったことはない。

高校時代、現役の大学受験で志望校に落ちた時は、明らかに自分の努力に問題があった。
しかし、転勤というのは、自分でコントロールすることが難しく、会社に命じられるものなので、自分の何がいけなかったのかもわからない、どうすることもできない事態に、ただただ落胆するしかなかった。

地方転勤というものは、外から見れば人ごとに過ぎない。
しかし、実際に自分が命じられるとなると、全く別の気持ちになるものだ。

寮に帰り、そう思うと、涙が込み上げてきた。

「そうだ。親父に相談しよう」

親父は、大手企業で重役まで登りつめた存在だ。

数ある有名企業の法人営業を経験し、もちろん転勤も経験している。

「そうか。転勤が決まったのか。サラリーマンに転勤はつきものだ。転勤だから左遷なんてことはこの年齢であるわけがない。落ち込むことはないんだ。いいか、法人営業というのはな・・・」

法人営業について、熱く語る親父の姿。

社会人になったからこそわかる、会社という組織の中で生きる辛さ、理不尽に耐えつつもうまくやっていかなければならない厳しさを身に沁みながら、その中で勝ち抜いてきた親父の存在に、尊敬の念が増す一方であった。

「やっぱり親父はすごい。俺も前に進もう。」

名古屋での飛躍 ~前ぶれ~

転勤が決まった週末、金曜の昼。

「異動先の名古屋の支店への挨拶、それと新たな寮への引越し準備に向けて、名古屋へ足を運んでくるように。」

そう命じられた豪(ゴウ)は、渋々上司からの命令を受け、名古屋の新幹線に乗った。

「そうだ。名古屋には、慶應時代に同じゼミだった三崎(ミサキ)がいる。確かあいつはトヨタだったか。あいつも初期配属から名古屋で大変だな。せっかくだし、連絡を取ってみるか。」

三崎(ミサキ)から早速返信が着た。

「名古屋に異動が決まったんだってね。話は聞いてるよ。名古屋で人気の中華料理屋があるから、今晩そこで久しぶりに飲もう。」

気が晴れない豪(ゴウ)は、新たな支店での挨拶をすませ、三崎(ミサキ)と約束した中華料理屋に向かった。

タクシーに乗って、三崎(ミサキ)が現れた。

三崎
「おー、久しぶり。ここ有名な中華料理屋の味仙だ。早速、中に入ろう。」


「なんだよ。人気の中華料理屋って言うから、少し期待してたけど、全然普通のお店じゃないか。」

三崎
「俺も最初はそう思ったんだ。まあ、でも時期にこのお店が好きになる時が来るよ。」


「ホントかよ。まあ、いいや。」

気が晴れなかった。

なぜなら、新幹線を降りて観た名古屋の景色に、正直がっかりしていたからだ。

東京にあるようなタワー型のオフィスは、名古屋で最も中心地である名古屋駅付近にしても、2-3件しか観られず、街を歩いていても、恵比寿、銀座、六本木のように訪れるたびに変化のある街独自の個性も見当たらない。

別に、自分はミーハーってわけではない。
ただただ、景色として映る名古屋の姿が、東京との格差を感じさせ、気持ちを下げるんだ。

おまけに、三崎(ミサキ)が案内してくれた中華料理屋も、東京であれば、とうてい人気店になるような面影は見られない。

「ふざけるなよ。なんで俺が名古屋なんだ。」

明らかに落胆している豪(ゴウ)に対し、三崎(ミサキ)は、明るく話を始めた。

三崎
「俺も名古屋に配属を命じられた時は、この上なく落ち込んだよ。遠距離恋愛は嫌いだし、当時の彼女とも別れた。大学の同期だって、俺はもうしばらく会えてないんだぜ。俺は、途中から名古屋ではなく、新卒から名古屋だからな。そりゃーもうひどいもんよ。ただ、名古屋には東京にない魅力がある。」


「なんだよ、魅力って?東京にはない飯とか?」

三崎
「確かに、名古屋の飯は、味が濃くて、濃い味好きの人にとっては、うまい飯がたくさんある。矢場とん、ひつまぶし、あんかけパスタ、山ちゃんの手羽先、名古屋コーチンを使った焼鳥。ほら、味仙のこの台湾ラーメンだって、名古屋名物なんだぜ。」

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「ごめん。落ち込んでるからかわからないけど、全く魅力を感じない。台湾ラーメンも辛くて全然好きじゃないよ。」

三崎
「まあまあ。そう落ち込むなって。名古屋の魅力は、飯よりもっと他にあるんだ。」


「なんだよ?景色だって東京のほうが素敵だし。街歩いてても、心が躍るような街じゃないよ、ここは。それ以外に何かあるのか?」

三崎
「ああ、あるさ。東京にはないとっておきの魅力が。女だよ。」

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